どうモ~。漫画好きな牛野ともです。
ここ最近、頭空っぽ(気楽)に読めて、なおかつおもしろいラブコメ漫画を読んでいます。
お気に入りは「ぼくたちは勉強ができない」「かぐや様は告らせたい」です。
この2つの漫画、タイトルにも書きましたが共通点があります。
それは男主人公が「勉強ができて」なおかつ「貧乏」というところです。
その設定……いる?
どうして「ふつうのどこにでもいる平凡な男子高校生」ではダメなの?
一体どうして、作者や編集者は、ラブコメ漫画の男主人公にそんな設定をしたのでしょうか。
ヒマなので気になったので、考察してみました。まずは、それぞれの作品の男主人公を掘り下げてみましょう。
「僕たちは勉強ができない」男主人公「唯我 成幸(ゆいが なりゆき)」の設定確認
4巻で初の表紙をかざれたガリ勉メガネこと「唯我 成幸(ゆいが なりゆき)」。
一ノ瀬学園に通う高校3年生の彼は、優秀な生徒に限り、大学進学にかかる全ての費用を学校側が負担する特別VIP推薦を獲得すべく日夜勉強にとりくんでいます。
ひょんなことからヒロインたちの勉強を教える立場になり、悪戦苦闘していますが、美少女に囲まれて「なんともうらやましい! その位置かわれ!」と読者の男子学生からやっかみの罵声があがりそうです。
ところが、彼の父親は彼が中学生のときに死去しており、経済的にきびしい家庭を考え、長男の成幸はなんとしても特別VIP推薦がほしくがんばっているのです。
それを知った後に、「努力型で友達思い」の彼に罵声なんてあびせることができるでしょうか。そんなん応援するに決まってる! がんばれ! 成幸!
おもわず応援したくなるそんな男主人公が「僕は勉強ができない」の「唯我 成幸(ゆいが なりゆき)」です。
「かぐや様は告らせたい」男主人公「白銀 御行(しろがね みゆき)」の設定確認
将来を期待されたエリートたちが集う名門校・『秀知院学園(しゅうちいんがくえん)』。
そこの生徒会長をつとめるのが、本作の男主人公「白銀 御行(しろがね みゆき)」です。
5巻でようやく表紙を飾れた我らが会長(右)ですが、「エリートの名門校」の「生徒会長」というだけで、なんかいけ好かないですよね←
しかも「学園トップの成績」なんですよ! こんなん読者である一般の男子学生は共感なんてしにくいにもほどがある。
ところが……このとっつきにくい設定。読み進めると、「さすが会長! 男でも惚れた!」ってなるからすごいんですよ。
彼はいわゆる「努力型の天才」であり、1日10時間の勉強を欠かさず行っています。さらに家が貧乏なので、アルバイトにも精をだしています。
「生まれながらの天才」であるヒロインのかぐや(左)に惚れている彼は、毎回並々ならぬプレッシャーの中、学力試験を受けています。
それは唯一勝てる勉強でかぐやに負けてしまったら、相手にされないと思い込んでいるからです。
激務の生徒会活動やアルバイトをこなし、「貧乏」という本人ではどうしようもない、自分の努力だけではどうにもできない短所を、「勉強」という自力で鍛えた唯一の武器でたちむかうその姿。
同じ男性でも応援せざるを得ません。勉強以外は割とポンコツな点も愛嬌があり、なおかつ決めるときは決める頼りになる男。
それが我らが会長「白銀 御行(しろがね みゆき」なのです。
「勉強ができて」なおかつ「貧乏」な設定によって、読者にどのような印象をあたえるのか?
最近のラブコメ男主人公についてわかったところで、考察していきます。
まずは「勉強ができる」について
「勉強」って、マイナスなイメージがありませんか?
「めんどくさい」「もっと遊びたい」「だらだらしたい」「こんなことして将来なんの意味があるんだろう」
誰しも一度は思ったことがあるはず。
そんなイメージにたちむかって「努力している姿」と、打ち勝って「結果をだしている」という部分。
これは素直にすごいです。主人公の魅力的にプラスですね。
ただし、これだけではふつうの読者の鼻につきそうです。「オレだって勉強しているのに成績伸びないし、美少女はまわりにいない! この差はなんだ!」とかなんとか。
上記の例はおおげさですが、勉強のできる人よりも愛嬌のある人(アホ)の方が親しみやすいのは確かです。
「このガリ勉主人公たちめ! しかも女子にモテてずるい!」
そんな非モテの声を相殺し、主人公の魅力をより高めてくれる設定があります。
そう。「貧乏」設定を組み合わせるのです。
「勉強ができる」を相殺し、相乗効果が得られる「貧乏」設定について
勉強のできる主人公の家が「貧乏」な設定。結論から言えば、メリットしかありません。
学校教育は基本的に平等です。が、親がお金持ちだと話はちがってきます。塾にかよったり、家庭教師をつけたり、質の高い教養をうけることができるからです。
・「勉強ができる」というやっかみ
・読者である自分と主人公が遠い存在すぎて「感情移入しにくい」
に対して、「家が貧乏」という設定を組み合わせることにより、「読者である自分より劣悪な環境」で「同情をひくこと」ができ、なおかつ、そのような環境にもかかわらず自力で努力して成績を上げているということに気づかされると「こいつはすごい!」というある意味、「羨望のまなざし」が向けられるのです。
なぜ最近のラブコメ少年漫画の男主人公は「勉強ができて」なおかつ「貧乏」なのか?
「勉強できる」と「貧乏」の組み合わせが最強だと説明したところで、本題です。
なぜ最近のラブコメ少年漫画の男主人公は「勉強ができて」なおかつ「貧乏」なのか?
たとえば「運動(部活)ができる」でもいいわけです。一体なぜ勉強に焦点をあてたのか……
ここに興味深い記事があります。
「じゃ、例えば男子だったら、どんな子が女子にモテるんですか?」と聞くと、「“逃げ恥”の星野源のような、やさしくて、清潔で、頭の良い子」という答えでした。
なんと最近の女子には「勉強できる=かっこいい」という図式があるようです。
この図式があれば、主人公の周りにヒロインが集まる図式も自然と納得できます。
また記事によると、親がソフト化したことによって、大人という敵がいない今の子供たちには反抗する意味がなくなっているそうです。
これでは「ガリ勉」の対局である「ヤンキー」もモテません。運動部についてはとくにふれられていませんでした。
昔は
運動部>ヤンキー>ガリ勉
のイメージですが、ここにきて
ガリ勉>運動部>ヤンキー
となっているような印象です。
「ガリ勉」は、時代の変化によって、あたまのいいスマートな学生へと昇華されたのかもしれません。
学歴があればより未来が開かれ、収入も増えるということが、今の女子学生にも伝わっているのかも。
また、「顔も人並み」「運動もそこそこ」のふつうの男子学生にとって、将来一発逆転する方法は「学歴」です。
ふつうの人は、学歴がないとお金を稼ぎにくい世の中であり、ましてお金がないと恋愛なんて二の次です。
そのような環境に置かれている「読者」は「ラブコメ少年漫画の主人公」に自身を重ねているのかもしれません。……なんて考えすぎでしょうか。
タイトルの元ネタ? 「貧乏」で「勉強ができない」のにかっこいい主人「時田秀美」くんを紹介します
勉強できる男はかっこいい。たしかにそうなんですが、ここでは勉強ができないのにかっこいい主人公を紹介します。
山田詠美の小説「ぼくは勉強ができない」の時田秀美くんです。
彼はとてもハイセンスな母親と祖父に育てられ、実にユニークでクールなイケてる男子学生です。
彼の言葉を拝借すると
ぼくは思うのだ。どんなに成績が良くて、りっぱな事を言えるような人物でも、その人が変な顔で女にもてなかったらずいぶんと虚しいような気がする。
一言。ズドンと心理を貫く言葉の槍。そこに気づくとはヤバいやつだぜ。
また彼の母親はこんなことを言っています
私は、秀美を、素敵な男性に育てたい。大人の女性の立場から言わせてもらうと、社会から外れないように外れないように怯えて、自分自身の価値観をそこにゆだねる男って、ちっとも魅力ないわ。
自分は、自分であるってことを解ってる人間にしたいの。
これまたズドン! 勉強だけではかもしだせない魅力ってやつがあるのかもしれない!
勉強ももちろん大事で、おろそかにしたら絶対ダメだと思いますが、こういう考え方もあるという幅は、現代の男子学生の方も持っていてもいいかもしれませんね。
まとめ
以上のことから
勉強できる設定
・あたまがいい=かっこいいという読者の「憧れ」や「羨望」
・ヒロインがまわりに集まる理由と納得感
貧乏設定
・環境による「同情」とそれに負けない「努力」により読者の「共感」が高まる
・ハーレムになっても、たたきにくい
「勉強ができて」なおかつ「貧乏」は、現代に沿ったラブコメ少年漫画の男主人公設定である……
以上、をもちまして考察結果とします。
最後に、それぞれの作品の魅力を紹介しておわります。気になる人は読んだ方が吉。
かぐや様は告らせたいがおもしろい理由
「告白したら負けである」という価値観のため、お互い好き合っている「白銀会長」と「副会長のかぐや様」の頭脳戦が繰り広げられる漫画。
……だったはずが、秀逸なギャグ漫画へと昇華しています。たまにシリアスな展開があるんですけど、それさえも布石にするかんじが好きですね。
また脇役がとても魅力的です。それぞれ「書記」と「会計」とからむとすごく魅力が跳ねます。
「ぼくたちは勉強ができない」がおもしろい理由
週刊少年ジャンプで連載されている漫画。当初は、すこしきびしいかと思ったんですが、新キャラ投入後、化けました。
キャラがかわいいというのは大前提なんですが、注目すべきは一話完結の構成の良さ。
全キャラ登場して、しっかり落ちがあるという離れ業をやってのけ、さらに一人に集中すれば、しっかりとヒロインの魅力がでるよう組み立ててくれます。
そのせいで、毎話ごとに読者の「押しヒロイン」が変わるという状態。全員とくっついたらいいのに←
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www.nekokumablog.comかぐや様のことについても書いてあります。気になった方はこちらもどうぞ。