どうも! 昭和のエラリークイーンこと筆者ともです。
今回は「平成のエラリークイーン」こと青崎有吾のミステリー小説「図書館の殺人」を読みましたので、感想を書いていきたいと思います。
筆者とも「これまで何十冊も趣味でミステリ作品を読んできました。犯人当てですか? 自信、あります!」
ちなみに今作は主人公の名前を冠した「裏染天馬シリーズ」の第3長編です。
第1長編「体育館の殺人」、
第二長編「水族館の殺人」、
第一短編連作集「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」は、
すべて犯人がわかりませんでした! 今回こそ当ててやる! リベンジです!
裏染天馬シリーズの魅力にせまる! どこがおもしろいのか紹介します。
「図書館の殺人」の前に、裏染天馬シリーズの紹介をさせてください。
シリーズものなので興味を持たれた方は、一作目から読んでほしいからです!
裏染天馬シリーズといえば、ロジック的な推理!
筆者とも的ワンポイントアドバイス
ロジックの意味
議論の筋道。論理。また、論法。論理学。
一見、突拍子もない推理をするイケメンオタクな主人公「裏染天馬」ですが、その推理はかなり論理的。「AがあったらBになる。Bになるなら、Cという場所に、Dというものがあるはずだ!」みたいなかんじで、進んでいきます。
これが理にかなっていて、読んでいて楽しいんですよ。たとえるなら、ぐちゃぐちゃにからまった糸が、スッとカンタンにほどけるような感覚。なんだか読んでいる自分まで頭が良くなっているような錯覚をおこしてしまいます。
「体育館の殺人」は第22回鮎川哲也賞受賞作、「水族館の殺人」は『2014本格ミステリ・ベスト10』国内編 第2位なのでプロの方からの評価も高いです。
裏染天馬シリーズはキャラクターがとっても魅力的! 裏バトルもたのしい!
本格的な謎解きも魅力なんですが、なんといっても裏染天馬シリーズはライトノベルよりのキャラクターたちがとても魅力的です!
シリーズなので、お気に入りのキャラクターたちが活躍する続きが、もう気になってしょうがありません。
個人的には「八橋千鶴」がとてもおいしいキャラクターなので、ぜひ大事に育てあげてほしいです。
本編とは別に「裏バトル」があったり、シリーズをとおして裏染天馬の過去に焦点をあてていく流れなので、そこも楽しみなところ。
気になった方は、ぜひ第一作目から読んでください。
「図書館の殺人」のあらすじ
期末試験中のどこか落ち着かない、ざわついた雰囲気の風ヶ丘高校。試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書館に向かった袴田柚乃(はかまだ ゆの)は、殺人事件捜査のアドバイザーとして、警察と一緒にいる裏染天馬(うらぞめ てんま)と出会う。
男子大学生が閉館後の図書館内で殺害された事件らしいけど、試験中にこんなことをしていていいの? 閉館後に、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺された被害者は、なんとなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージを残していた……。
“若き平成のエラリー・クイーン"が満を持して贈る第三長編。
“館"の舞台は図書館、そしてダイイングメッセージもの!
満を持して、ついに舞台は「図書館」ですね。
舞台にぴったりのメガネ図書委員長の新キャラ「城峰有紗」が登場します。要チェックです。また今回から初登場の女性刑事「梅頭咲子」が、袴田兄と今後どうなっていくのか考えるとニヤニヤがとまりません!
↓※注意 ここから下の記事にはネタバレがあります!↓
【ネタバレ】なぜ犯人は殺人を犯してしまったのか
では、さっそく読んでいった感想を書いていきたいと思います。
まずは気になった点をいくつか。(私の読み込み不足もあるかと思います。もし、よろしければ、コメント欄にてご指摘いただけると幸いです)
城峰美世子が息子を守るために、桑島法男を本で殴りました。
母親である城峰美世子は、息子を溺愛していたので「愛する息子がヘンな男に狙われている! ヤバイ!」ということで、理由はわからなくもないですね。
ただ真っ暗な図書館で、パソコンを桑島は見ていました。城峰美世子は、その後? もしくは近くに立ってパソコン画面を見たんですよね。そこに息子の名前があった、と。
パソコンの字、読めますかね?
読めたとしてもそうとう近づかないといけないですよね。ってことは、深夜の図書館に忍び込んでるわけのわからない男に近づいてるわけです。……息子とかんちがいしたのかな? もしかしたら「○○(息子の名前)をみつけた!」って桑島が叫んだとか?
でも普通の主婦だったら、「なにこいつ怖い! 隠れよう!」ってならないでしょうか。
もう一点。
桑島を本で殴る現場を、城峰美世子は息子に見られてしまい、息子を本で殴りましたよね。
溺愛していた息子が非行に走ったこと、「息子を愛していた」というより「自分の半身」=「自己愛」の延長だったため、「非行に走った息子を許せないし、愛せない」そして「自己愛の強さから自分の保身のために殺人を犯す」ということでよいのでしょうか。
【ネタバレ】そもそも人間は、本で殴るだけで死んでしまうのか
凶器となった本のタイトルは「人間臨終図巻 下巻」です。
アマゾンでも売っていました。調べたところ、
商品パッケージの寸法: 22.8 x 16.2 x 3.6 cm
です。
ちなみに図書館の殺人の商品パッケージは
商品パッケージの寸法: 19.8 x 13.6 x 3 cm
重さを手元の体重計にのせてはかったところ「0.5kg」ありました。
「人間臨終図巻 下巻」は一回り大きいので、もしかしたら1kg近いくらいあるかもしれませんね。(下記のサイトによると、およそ900gありました)
これはけっこうな重さと大きさですね。殴った回数について注目してみましょう。
今作では、2回殴って絶命させています。
ネットで調べたところ、なにかの事件でダンベル1kgで何十回も人を殴って絶命させたというニュースがありました。
……なにそれ怖い!
打ち所がわるければ、2回でも死亡するのでしょうね。月刊漫画雑誌とかもやばそう。コロコロとかガンガンとか! こわっ!
【ネタバレ】そもそも図書館に自作の本を置くのは犯罪なのか。何罪なの?
調べたところ、図書館の本は選定基準があるようです。
今回は自作のファンタジーミステリー小説でしたが、それをたとえばすごくエッチな本とか、残酷なやつとかに置き換えると、やはり勝手に本を置くのはよくないということが鮮明にわかります。
だまってやるのは良くないです。なので自作本を図書館にどうしても置きたいという方は、寄贈すればよいと思います。これですべて解決!
ちなみに勝手に本を図書館に置くのは何罪なのかは、現在調査中です。営業妨害罪?とかかなあ……ちがうか。
【ネタバレ】なぜ犯人は「鍵の国星」を盗んだのか
この謎は「図書館の殺人」を読まれた、ほかの読者さんも気になっているようです。
城峰美世子はおそらく「自分の犯した事件と同じ内容だったから(犯人が被害者の母親で最初に※「く」のつく人物だったから)」持ち去ったのではないかと思います。
※筆者とも的ワンポイントアドバイスっていうか答えが知りたいので誰か答え合わせしてください。
鍵の国星は読まなくても犯人がわかると城峰有紗は言いました。裏染は「く」のつく人物って答えてましたね。『女王(クイーン)』ってことでしょうか。名前までは……って言ってましたし、どうなんでしょうか。
ただ、気になるのが城峰美世子はいつ鍵の国星を読んだのかというところです。息子から話を聞いていたのか、実際に図書館に置く前に渡されて読んでいたのか……どちらも少し考えにくい……
とりあえず持って帰って、落ち着こうとして「息子が置いた本でも読もう」→「犯人がメタ的にわかるやんけ! 隠そう!」ってなったのかな……
それとも、やはり息子の犯罪をなかったことにしたかったからかな……。わかりません。読み込みが足りてないみたいです。わかる方いらっしゃいましたら教えてください!
【ネタバレ】八橋千鶴がシリーズがすすむごとに残念な子になっていく件
第1作目で、登場した八橋千鶴の転落具合が最高ですね(ゲス顔)。それに反して、針宮理恵子の上昇っぷりときたらもう、スカッとします←
筆者とも「次のシリーズでも八橋さんの大活躍に期待しています! がんばってください!」
次のシリーズタイトルは何か? 当ててやる!
今作「図書館の殺人」ではも、犯人がまったくわかりませんでした。完敗です。でも、リベンジで、次のタイトルを当ててやるぜ!
博物館の殺人……公民館の殺人……いや! ずばり映画館の殺人ではないか!
映画のチケットをゲットして、裏染とか袴田妹が映画を見に行くとかそんなんかも! いや、秘宝館の殺人っていう可能性もすてがたい!
まとめ
いろいろと気になる点(動機)はありましたが、とてもおもしろくて一気読みしてしまいました。
そもそも本格ミステリで推理に特化した作品の動機は、おまけみたいなものって認識もあるみたいですしね。
個人的には、お話としてもただ犯人がわかるだけじゃなく、メタ的な作品の犯人にも繋がっていた二重のラストには「おぉ!」と思いました。
負けたぜ! 完敗だ! 平成のエラリークイーンさんよ……
次こそは当ててやる!
今度は淡木雪海(あわき ゆきみ)という、裏染にとって重要な人物がでてくるみたいだし、それをしった柚乃の気持ちにも注目ですね。いまから待ちきれないです!
おまけ 第一作目の体育館の殺人は単行本から文庫本にしたとき、大幅な改稿がなされているようです。続きがでるまで、比べてみるのも一興ですよ。