ねこくまブログ

もはやただの雑記です。

【ネタバレあり】パラサイト 半地下の家族を観た感想とおもしろいと言っていいのか問題

パラサイト 半地下の家族

どうモー。牛野トモです。

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を映画館で見終わって1日たった今。なんともいえない後味がのこっているので、感想(ネタバレあり)を書きました。

全体的なストーリーと感想

前半

最初は半地下生活をしている家族の長男が経歴を詐称して、裕福な家庭の家庭教師として就職します。

次に妹が同じ裕福な家庭の絵画診療士?として就職。それから父親が送迎の運転手となり、最後に母親が家政婦として勤めはじめます。

映画前半はコメディタッチで物語が展開していた印象です。

リレーのバトンを渡すように、順番に順調にパラサイトしていく様子はにやにやしながら観ていられました。

中盤①

そんな中、裕福な家庭の父・母・姉・弟4人が弟の誕生日にキャンプにでかけます。

留守を任された家政婦の母親と、そこにいてはいけない半地下家族の父・兄・妹。

高級住宅のリビングで夜になごやかに宴会をしていた様子は、逆にとても危うくてハラハラしました。
家主の裕福家族が宴会中に帰ってくるんじゃないか。

その光景を目のあたりにしたら、あまりに無防備すぎて家族ぐるみで経歴詐称して就職してることもバレるはず! 

そこからどんないいわけをして切り抜けるのかと予想していましたが……


宴会中にインターホンを鳴らしたのは、追い出したはずの前の家政婦でした。

高級住宅には秘密の地下室があり、そこには前の家政婦の旦那が住んでいました。借金取りに追われて、外に出られないためずっと住んでいたとか。

この展開には衝撃が走りました。思いかえせば、裕福な家庭の父親が「前の家政婦の唯一の欠点はご飯を二人分食べること」という伏線をはっていたのに。

この地下夫婦に半地下家族の行いがバレて、バトル突入!

さらに裕福な家族から電話があり「キャンプ大雨で中止。あと8分で帰る」という状況になり、ハラハラ感に拍車がかかりました。

中盤②

半地下母が前の家政婦を地下に蹴り飛ばし、脳しんとうをおこさせたときは引き返せないところまできたなと思いました。

半地下家族の父・兄・妹は裕福家族が帰ってきたため身動きがとれません。

そのとき裕福家族の夫婦が、半地下家族の父の「干し大根のような地下鉄のような臭い」が実は苦手だと話しているの半地下父は耳にしてしまいます。

裕福家族に見つからないよう無事に脱出できた半地下家族の父・兄・妹ですが、地下夫婦を地下に閉じ込めている状況かつ、大雨で浸水した半地下の家が悲壮感を際立たせます。

あんなに優雅に過ごしていたところから、下に下に逃げていき現実に打ちのめされるのは悲惨でした。

終盤

翌日、弟の誕生パーティーの仕切り直しを裕福家庭でおこないますが、格差が如実に表現されていて打ちのめされました。

地下の夫婦の夫が、前の家政婦(奥さん)が階段から落とされた影響で死亡し錯乱。

半地下の兄が地下夫を倒そうとしますが、返り討ちにあい地下夫が地下から解放。

パーティー中の半地下妹を刺し、半地下母に返り討ちにあいます。

この事件により失神した子供を病院に送るため車の鍵をとろうとした裕福家庭父。車の鍵は地下夫が倒れた場所に。

地下夫を雑にあつかったため、半地下父が裕福父を刺すという流れ。
半地下父がなぜ、裕福父を刺したのか……

時が過ぎ、返り討ちに遭った半地下兄が回復。妹は亡くなり、行方不明の父は裕福家庭の地下室ですごしているのをモールス信号で発見。

金持ちになって裕福家庭の家を買うことを計画する。

というエンディングでした。

細かいところの感想

ストーリーが斜め上に行くスカシが3回くらいあった

・兄の友人から経歴詐称がばれるのではないか

家庭教師を紹介してくれた裕福な友人は、家庭教師先の姉が好き。
 

そのため、ほかの大学生にとられないよう貧乏で絶対に姉が惚れないであろう半地下兄に仕事を頼んだわけです。ナチュラルに見下しながら。
 

たとえば、元家政婦と裕福家庭の弟のように連絡を取り合っていたらどうなっていたでしょう。また留学から帰ってきて状況を知ったら……

姉に手を出された友人は、なりふりかまわず正体をばらして兄や半地下家族がてんわやんわみたいなコメディにはならなかったなー。

・土地の権利書

これに関しては私の知人の感想ですが、パラサイトしていって、その先に土地とか家とかをのっとっていくんじゃないかと思ったらしいです。

その発想はなかった!

・半地下経歴が裕福家庭にばれない!

ピンチはありますが、裕福家庭は半地下家族の経歴詐称には気がつきません。
 

裕福家庭父は臭いで感じ取ってはいますが、「裕福家庭VS半地下家族」という構図にはならず「裕福家庭>半地下家族VS地下家族」というところがリアルっぽいです。

兄の頭がお花畑で突っ込みたい気持ちでいっぱい

たぶん兄は友人に憧れていたのかもしれませんね。友人のように振る舞い、果ては裕福家庭の姉と結婚するとか言い出す始末。絶対バレるって!

途中のハラハラ感が異常

コメディタッチでパラサイトしていった半地下家族。高級住宅のリビングで宴会からの元家政婦という計画にない来訪者。
 
前にも書いてるけど、ホントにハラハラして観てられない。絶対裕福家庭帰ってくる! からの元家政婦! 
 
ここの不穏な空気感が「あれ? 流れ変わったな」ってなるし、そこから目が離せなくなる。
 
映画館で胃が緊張したのはじめてかも。

半地下妹が浸水した家のトイレでたばこ吸う姿の印象は異常

半地下の家だから大雨ですごい高さまで浸水してるんだけど、そこで便器から汚水があふれ出ないようにドカッと座りながらたばこ吸うって大物感ある。
 
あと半地下父が母のメダルを持って行くのいろいろ想像できそう。

なぜ半地下父は裕福父を刺したのか

半地下父は裕福家庭を優しいと評価していた。
 
信頼関係があると思っていたのに、「臭い」がすると裕福父の言葉を耳にしてから心変わりしたのでしょうね。

もしかして裕福奥さんにちょっと気があったのかなー。そんなことないか。
 
大雨の中でも庭でキャンプする裕福な家庭と、家が浸水し体育館に避難する自分の家庭。浮き彫りになる格差。

地下父には「台湾カステラ」で事業失敗というところに自分を重ねていたのかも。

裕福父に雑に扱われた地下父と同じ自分。

この場面は賛否両論ありそうですね。

まとめ おもしろいけど、おもしろいと言っていいのか問題

「失敗しない計画は計画をたてないこと。計画を立てると失敗するから」

大雨で家が浸水し体育館へ避難した場面。父から兄に伝えた言葉です。

ここで父の心が弱り切って向上心がなくなってしまったように感じます。

ラストシーン父が半地下から、地下へたどりついたのも心を表わしているようです。

底辺だと思っていたのに、さらに底がある。二段底です。

最後、兄は金持ちになって裕福家庭の家を買って父を救うという計画をたてますが、父の言葉のとおりだとおそらく失敗してしまうでしょう。

見終わった後、おもしろいけどなにかが心にこびりついて離れない、そんなジェットコースターのように心揺さぶられた作品でした。

P.S.「パラサイト 半地下の家族」を撮った監督の他の作品も観たいと思いました。
もし、おすすめ作品がありましたら、教えていただけるとうれしいです。