どうも! 筆者ともです。
今回は乙一先生が満を持して書かれたファンタジー小説、「Arknoah 2 ドラゴンファイア」を読んだ感想を書いていきたい思います。
あらすじ
いじめられっ子の少女マリナ・ジーンズ。彼女はある日、納屋で「アークノア」という絵本を読み、異世界へと迷いこんでしまう。マリナは自らの置かれた状況を解決するため、アークノア災害対策本部へと向かった。
いっぽう、アール、リゼ、カンヤム・カンニャムの3人は、砂漠地帯で竜の怪物を発見。しかし、その強力な爪と牙、そして炎を吐き出す竜になすすべもなく、命からがら逃げ出した。
災害対策本部へと辿りついたマリナを、数々の運命が待ち受ける―!!
「Arknoah 1僕のつくった怪物」の続編である今作。そのため、Arknoah1で起きたできごとを「人物紹介」「prologue」でしっかりと補完してくれているので、今作から読んでも大丈夫なつくりになっています。
私も前作を読んでから、だいぶ時間がたっていたので、どんな話だったか最初に確認できたのは助かりました。
みどころ
今回、初登場したいじめられっこの「マリナ・ジーンズ」。アークノアという異世界に迷い込んだ彼女といっしょに、「歯並びの悪いドラゴン」がアークノアに出現します。そのドラゴンを退治しないとマリナは現実世界に戻ることができません。
ところが「歯並びの悪いドラゴン」はマリナの心が生み出した怪物なので、彼女はドラゴンに感情移入してしまいます。
「マリナの心の動き」や「ドラゴンとの死闘」が今作のみどころです。乙一先生はどちらかというとミステリ系の作家なので、これまでアクションシーンを書かれたことはなかったように記憶しています。
一章の「列車に乗りながら、砂漠の中をドラゴンと戦うアクションシーン」は手に汗にぎりますので、乙一先生ファンの方もそうでない方もぜひご一読を!
あと装丁が丁寧に作り込まれています。キラキラ光ってとても美しいです。本屋さんに行かれたときは、手にとってみてほしいです。
ネタバレを含んだ感想
一章の列車に乗りながら、ドラゴンと戦うアクションシーンについて。
銀色のトランクがあまりに頼りになりすぎて、リゼがトランクを竜に投げつけたあたりは「もう炎を防ぐすべがない!」とハラハラして読み進めました。また走行中の列車の連結器をアールが何度も行ったり来たりしたので、そこも心臓にわるかったです。アールは異邦人のため、「落ちたら死ぬ=死んだら蘇らない」ので、ドキドキでした。
二章のアークノア特別災害対策本部の所長ロンネフェルトがいいキャラしている。
乙一先生得意のちょっとしたミスリードに見事にひっかかりました。ロンネフェルトはひょうひょうとしていて、好きなキャラクターです。なんとなく漫画「HUNTER×HUNTER」の試験管サトツをイメージしながら読んでいました。また登場しないかな。
またアールとマリナが「アークノアにきてから、現実世界の悩みがつまらないちっぽけなものに思える」という会話をしていて、うまく言葉にできないのですが、乙一先生からのメッセージのようなものを感じました。
「世界は広いんだ」「物事をもっと大きい広い世界でみてはどうか」というようなものです。この本を読んで、「現実世界で悩んでいる読者さんの気持ちに寄り添えるような作品」だと思いました。
三章のルフナの再登場。竜の背に乗って逃避行するのに憧れる。
個人的にルフナはArknoah1で登場したときから好きなキャラクターだったので、再登場してうれしかったです。女の子なのに、やっぱりアールには「男の子」だと思われていて、そのすれ違いがおもしろいんですよね。もっとふたりの会話を楽しみたかったのが本音です。
またマリナが心をかよわせたドラゴンの背に乗って、異世界のアークノアを旅する場面はいくつになっても憧れます。気持ちよさそうですよね。
五章の蛇との共闘が熱い。ドラゴンが城に落ちていく様が切ない
城の中でアールとマリナ、蛇とのやりとりや、囚われのカンヤム・カンニャムの足の骨折の治し方が斬新なところが最初の見所。
マリナが蛇をよぶとき「ミスター・スネーク!」と叫んでいたところは、なんだかほほえましかったです。
後半の城を守るドラゴンと高射砲のアクションシーンはとてもスケールが大きく読み応えがありました。アークノアの世界ならではの大型兵器の移動方法はお見事です。
ただ、最後。
ドラゴンがマリナを守るために、高射砲を攻略したのですが、そのせいでリゼがハンマーをマリナに振るうことになってしまい、なんともいえない切ない気持ちになってしまいました。
マリナとドラゴンを見逃してしまうと「アークノア」の世界が維持できなくなってしまうので、リゼの行動は彼女の立場上しかたのないものなのですが……
ドラゴンが城に落ちていく様は美しくもはかないシーンでした。
epilogueのアールの心境の変化。現実世界でグレイの再登場。
同じ異世界からきたマリナをリゼに殺されてしまい、アールはリゼと対立することになりました。そのため、自信の生み出した怪物「蛇」と行動を共にします。「リゼ」と頭を殴られた「ルフナ」が、アールをどう位置づけるのか続きが気になります。
またグレイが現実世界でメールのやりとりをした「ビアトリクス・リプトン」によって、徐々にアークノアの秘密が解き明かされそうなので、こちらも楽しみです。
まとめ
今回の「Arknoah 2 ドラゴンファイアを読んだ感想」はいかがでしたでしょうか。私は乙一先生の大ファンなので、先生の作品はほぼすべて目をとおしてあります。
ただ最近、小説を読む時間がなかったため、久しぶりに乙一ワールドに浸れてうれしかったです。
Arknoah 3が発売されたら、また読んで感想をこのブログに書き残したいと思います。